遠花火
落葉松の針のような葉が落ちてくる
茶柱ぐらいの大きさなのに
あまりに無尽に落ちるものだから
遠花火のような乾いた音を立てている
風に
葉は集められ
色鉛筆のケースに納まっている鉛筆みたいに
行儀良く路肩に並んで積み重なっている
踏みつけると 油分が溢れて
危うく足をすべらしそうになるが
得も言われぬ良い香りが
あふれ出てくる
やがて雪が降れば
けものたちの息づかいに唐松は再び香りだし
森はしんしんと音を立てはじめ
精霊たちの祭がはじまる
by 11hiyo
| 2020-11-25 00:04
| sora
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